がんの免疫療法とは?


がんの免疫療法とは?

人体の免疫システム

人体の免疫システム 人体の免疫システムとは、外部から侵入した細菌やウイルスをリンパ球などの免疫細胞が攻撃して消滅させる機能を意味します。この様な人体の免疫システムは非常に複雑で未だに解明されていないことも多いのですが、研究者の努力によって日進月歩で進歩して新しいことが解明されつつあります。
毎日、健康な人の体内に於いても、遺伝子の変異によって数千個のがん細胞が発生していると言われています。しかし、我が国で毎年がんに罹る人は70万人程の人です。
つまり、大部分の人の体内で毎日発生する数千個のがん細胞は、毎日、リンパ球などの免疫細胞が働いて消滅させているのです。その様な人間の体に本来備わっている免疫機能を活性化させて、がん細胞を消滅させようというのが「がんの免疫療法」です。

「がんの免疫療法」の仕組み

「がんの免疫療法」の仕組み 人体を構成する細胞には様々な種類の細胞がありますが、免疫を担当している細胞はリンパ球とマクロファージや好中球細胞などです。
そして、リンパ球にはB細胞とT細胞があり、B細胞は抗原に対して特異的に結合できる抗体を産生します。また、T細胞には「キラーT細胞」と「ヘルパーT細胞」の2つのT細胞が存在します。
そして「キラーT細胞」はウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺傷する能力を持つ重要な細胞です。また、「ヘルパーT細胞」はB細胞の抗体産生を活性化し他のT細胞を活性化させる働きを持っています。
その他に免疫細胞にはウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺傷する能力を持つ「ナチュラルキラー細胞」などが存在しています。
「がんの免疫療法」とは大別すると2つに分けられます。

「がんの免疫療法」の仕組み 1つは従来から行われている「がんの免疫療法」で、患者が持つ免疫機能を高めてがん細胞の増殖を抑える療法です。多くの場合、患者自身の免疫細胞を取り出して活性化した後、再び点滴で患者の体に免疫細胞を戻してがん治療を行います。

「がんの免疫療法」の仕組み もう1つは「がんペプチドワクチン」を用いる療法です。
ウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺傷する能力を持つ「キラーT細胞」や「ナチュラルキラー細胞」を「がんペプチドワクチン」で活性化させてがん細胞を消滅させる療法です。そして、「キラーT細胞」や「ナチュラルキラー細胞」を活性化させる為に、免疫担当細胞やサイトカインや抗体を使って免疫機能を目的の方向に導く訳です。
今後のがんの治療は従来から行われている「外科療法」と「放射線療法」と「抗がん剤による化学療法」に加えて、この「がんの免疫療法」が第四の治療法として確立されていくことは間違いないでしょう。